介護が必要になった家族や自身のために、どの施設を利用するべきか悩むことは少なくありません。特に、入院治療を終えた後、自宅での生活にスムーズに戻るためには、適切な施設選びが重要です。そのような場面で役立つのが、リハビリを中心とした介護サービスを提供する「老健(介護老人保健施設)」です。
本記事では、老健の特徴や利用条件、費用、利用するための準備について詳しく解説します。適切な情報を把握し、最適な選択をするための参考にしてください。
老健(介護老人保健施設)とは?
老健(介護老人保健施設)は、リハビリを中心に介護や医療サービスを提供し、自宅復帰を目指す高齢者のための施設です。入院治療を終えた後、日常生活への移行がスムーズに行えるよう支援します。医師や看護師、リハビリ専門職、介護スタッフがチームを組んで利用者をサポートし、短期間の入所を前提としています。
老健は、特別養護老人ホームや有料老人ホームと異なり、リハビリを重視した施設です。例えば、骨折の治療後、歩行訓練をしながら自宅復帰を目指す方にとって、老健は最適な選択肢となります。
老健の特徴
老健の最大の特徴は、自宅復帰を目的としたリハビリを重点的に行う点です。医療機関に近い環境で利用者の健康管理が行われるため、安心して利用できる施設となっています。医師が常駐していることから、健康状態の悪化にも迅速に対応可能です。
また、老健は短期間の利用を基本としています。通常、数カ月から1年程度の入所期間で、自立した生活を取り戻すことを目指します。入所中は、食事や入浴などの日常生活の支援も行われるため、安心してリハビリに専念できます。
老健を利用するための条件
老健を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。最も重要な条件は、要介護1以上の認定を受けていることです。さらに、医師がリハビリや介護を必要と判断し、自宅復帰を目指す意思があることも条件に含まれます。
例えば、要支援の方や高度な医療ケアが必要な場合は、老健ではなく他の施設が適している場合があります。また、老健は短期間の利用を前提としているため、長期間の生活の場としては選ばれにくい施設です。
老健の費用はどれくらいか?
老健の利用には介護保険が適用されるため、利用者の自己負担額は1割から3割となります。費用は要介護度や所得に応じて異なりますが、月々の負担額は介護サービス費用、食費、居住費を合わせて15万円前後が一般的です。
たとえば、要介護3の方が老健を1カ月利用する場合、介護サービス費用の1割負担が5万円から10万円程度かかります。これに加えて、食費や居住費が発生します。所得の高い方は負担割合が2割や3割となるため、事前に費用を確認しておくことが重要です。
老健を利用するための準備
老健を利用する際には、いくつかの準備が必要です。まず、要介護認定を受けることが第一歩となります。市区町村で申請を行い、訪問調査や主治医の意見書を基に要介護度が決定されます。
また、主治医による診断書の提出が必要です。この診断書には、リハビリや介護が必要な理由が記載されるため、医師と事前に相談しておきましょう。さらに、入所予定の施設での見学や費用の確認を行い、納得した上で利用を開始することが大切です。
まとめ
老健は、自宅復帰を目指すための重要なステップとして利用される施設です。利用者の状態に応じたリハビリや介護を受けられる一方で、短期間の利用が基本となるため、利用後の生活計画も考慮する必要があります。
施設の選択や利用計画の作成にあたっては、ケアマネージャーや家族との連携が欠かせません。また、施設見学やスタッフとの面談を通じて、安心して利用できる環境を確認することをおすすめします。老健を効果的に活用することで、利用者と家族の負担を軽減し、スムーズな自宅復帰を実現できます。